今回のお目当ては「五目チャーハン」
東急大井町線・中延駅を出て、少し歩いた住宅街の中にその店はある。このエリアはにぎやかな東京の中でもどこか親しみやすく、日常に根ざした人の営みを感じさせる。近くには昔ながらの商店街が残り、顔なじみの挨拶が飛び交うような空気が心地いい。
「中国家庭料理 大元」は、そんな町に根づいた人気店だ。昼どきには店前に人だかりができる。その日も例外ではなく、並んでいる間、入口のホワイトボードに書かれた“本日のおすすめ”を眺めながら、どれにしようかと悩んでいた。
入店し、メニューを眺めるうち焼肉丼も気になってきたが、今回は初志貫徹で、五目チャーハン(750円)と肉団子(1,100円)を注文。メニュー表から伝わる“定番感”に逆らえなかったのだ。
まずは肉団子。運ばれてきた瞬間、ふわっと立ちのぼる甘酢の香りが食欲を刺激する。
箸を入れると、外側はカリッと香ばしく、噛めば中から肉汁がじゅわっと溢れ出す。ふんわりとした食感とジューシーさのバランスが絶妙で、これはもう主役級の一皿だった。
甘酢あんの塩梅もほどよく、濃すぎず、でもしっかりとコクがある。ご飯が止まらないとは、まさにこのことだろう。
続いて五目チャーハン。
見た目からして贅沢で、ぷりっとした海老が堂々と上にのっており、その存在感がひときわ目を引く。さらにカニ、たまご、紅ショウガが彩りを添えている。
ひと口食べてみると、まずその軽さに驚いた。油っぽさはなく、むしろサラッとした口当たり。それでいて味付けは濃いめで、しっかりとした満足感がある。上品にほぐされたカニの旨みがご飯にじんわりと染み込み、具材の旨みとご飯の香ばしさが相まって、ひと口ごとに幸せを感じる。これで750円とは、驚きの贅沢感だ。
ボリュームも申し分なく、気づけばあっという間に完食していた。並んででも食べたくなる理由が、よくわかる。
「また来よう」と思わせるのは、美味しさだけではない。気取らず、飾らず、それでいて丁寧に作られた料理に触れると、まるで誰かの家でごはんをごちそうになっているような温かさがあるのだ。
焼肉丼は次回の楽しみにとっておこう。今度は誰かと来て、いろんなメニューをシェアしたい。そう思わせる、そんな町中華だった。
ありがとう、ごちそうさまでした。
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店舗情報
店舗名 | 中国家庭料理 大元 |
住所 | 東京都品川区二葉3丁目15−8 |
電話番号 | 03-3783-5594 |
営業時間 | 11:30-13:30 17:30-21:30 |
定休日 | 水 |
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