今回のお目当ては「ポークライス」
仕事の合間、少しだけ時間が空いた。銀座の街を東に歩く。ブランドショップのウィンドウが続く通りを抜け、少し脇道に入った先、ふと現れたのが「中華そば 萬福」だった。
場所は中央区銀座二丁目。華やかな銀座の街並みの中に、そこだけ時間が止まったような佇まい。創業は大正時代、昭和4年からこの地で暖簾を守り続けてきたという。外観はレトロで、まるで昔の映画のワンシーンに出てきそうな雰囲気。ドアの前に立った瞬間から、気分がすっと切り替わる。「かわいい」「エモい」と口コミで言われていた理由がよくわかる。
日によっては行列ができることもあるそうだ。だが、行列ができていても回転は早く、オペレーションがしっかりしていると評判らしい。
厨房から聞こえる鍋の音と、店員の元気な声。気取らない、でもどこか背筋の伸びる空気。メニューには中華そばをはじめ、魅力的な定食がずらりと並んでいた。
この日は、聞きなれない、見慣れないメニューだと思い名物だという「ポークライス」をオーダー。合わせて「餃子」も注文した。
まず運ばれてきたのはポークライス(950円)。一見するとオーソドックスなケチャップライス。しかし、ひと口運んだ瞬間、その印象は一変する。
細かく刻まれたチャーシューの香ばしさ、玉ねぎの甘み、玉子のまろやかさ。ケチャップの酸味と甘みが絶妙に絡み合い、どこか懐かしく、けれど家庭では出せない味。スプーンが止まらなくなるとはこのことだ。
続いて登場した餃子に、思わず「大きい」と声が漏れた。一般的な餃子の1.5倍はあろうかというサイズ感。焼き目はパリッとしておらず、しっとりとした皮。
ふにゃっとした独特の食感は最初こそ驚いたが、噛むたびに肉の旨みが口いっぱいに広がる。野菜よりも肉の比率が高く、懐かしさすら感じるオールドスタイルの味わい。こういう餃子は、最近あまり見かけなくなった。
食事を終えて、店を出る頃にはすっかり心が満たされていた。
銀座という土地に、こんなにもあたたかく、長い時間を積み重ねてきた店があること。その事実に、少しだけ救われたような気がした。
ありがとう、ごちそうさまでした。
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店舗情報
店舗名 | 中華そば 萬福 |
住所 | 東京都中央区銀座2丁目13−13 久保ビル 1階 |
電話番号 | 03-3541-7210 |
営業時間 | 11:30-15:30 17:00-22:00 |
定休日 | 日 |
※店舗情報は変更されている場合があります。